江戸時代、参勤交代の大名らが宿泊した下諏訪宿の本陣。皇女和宮や明治天皇が宿泊したことでも知られ、今でも岩波家で代々守り続けています。
本陣としての役割を終え、明治初期に文明開化を迎えると、岩波家でも片倉家と提携して製糸業を営んだ時代がありました。現在駐車場として利用されている場所には当時の最新式の設備を備えた工場があり、諏訪地方のシルク産業を牽引する存在でした。工場では、承知川の水を引水し動力として機械を動かしていたそうです。また、岩波家先々代の妹は三代片倉兼太郎に嫁いでおり、家族ぐるみで諏訪の蚕糸、製糸業を支えてきました。


現在では下諏訪宿本陣の姿をそのままに、歴史と伝統を伝える施設として公開されています。敷地内には製糸工場の建物の一部が残っています。その庭園は中山道随一の名園とも称され、春のつつじ、初夏のあやめやさつき、秋の紅葉、雪景色と、四季折々の姿を楽しむことができます。